1930年 スタンダードチェア (サイドチェア)/ ジャン・プルーヴェ:パリの金工職人、家具デザイナー、建築家
手前からスタンダードチェア、アントニー(1950)、フーバーラウンジチェア(TECTA D36)※全てプルーヴェ作品
プルーヴェは金工職人からキャリアをスタートさせ、鉄製ランプや階段の手すりなどを製作しながら
20代半ばごろからスチール製の椅子も作り始めます。
1930年代にはスチール等の新たな素材を使って、実験的かつ先進的な仕事へと転換し
家具から建築へと領域をひろげていきました。
特にアルミを建築素材として取り入れた先駆者と言われています。
1930年代、市場拡大に伴う大量生産の要請に応え、公共機関や大学に向けて
家具を数多く手がけました。その中の一つがこのスタンダードチェアです。
ナンシー大学のコンペに合わせてデザインされたもので、プルーヴェの代表的な椅子です。
座った時に後ろ脚と座面の後部との接合部付近に荷重がかかるため
その後ろ脚部分を厚くしているのが特徴です。
一見すると、小中学校の椅子のような懐かしい感覚さえしますね。
座り心地はまさに学校の椅子!
日本では戦後しばらくは、学校の机や椅子は木製でしたが
1962年(昭和37年)ごろからスチール製のものが急速に普及したとされています。
文献では見つけられませんでしたが、何かしら影響があったのでしょうか。
現在はスチールのフレーム部分のカラーも増え、座面、背もたれとの組み合わせで個性が出せそうです。
撮影場所:武蔵野美術大学、東京都現代美術館、富山県美術館