1950年 イージーチェア(アントニー)/ ジャン・プルーヴェ:パリの金工職人、家具デザイナー、建築家
プルーヴェの椅子の中で個人的に好きな作品です。
既に廃番というところにも希少価値を感じますよね。
パリ近くにある学園都市アントニーの学生寮のためにデザインされたことからこの名前がついたそう。
スタンダードチェア同様、できるだけ少ない素材から合理的に工夫されているように思います。
背もたれから座面にかけては一体型の成形合板で、緩やかなカーブが体のラインにフィットします。
この座面とL字型になったスチールのフレームにはわずかに隙間があり
これによって絶妙なクッション性があり、快適な座り心地になっています。
そして両サイドの脚部は逆V字型で、安定性を確保しつつ無駄をそぎ落としたデザインです。
腰を下ろすとお尻がストンと後ろに下がる感じで、自然と背中を背もたれに預けたくなります。
学生たちがラウンジやロビーなどで談笑していた姿を想像してしまいます。
撮影場所:武蔵野美術大学、東京都現代美術館