【クラシック編】No.14と並ぶ名作 ウィーンチェアNo.209

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1870年 ウィーンチェアNo.209/ ゲブリューダトーネット:トーネット社

No.14と並ぶ名作で、トーネット社の中でも代表的な椅子です。

ミヒャエル・トーネットの三男アウグストが中心になってデザインしました。

デザイン担当で類まれなセンスと技術的な知識を持ち合せていたアウグストは、

2000種類以上の商品開発を行ったと言われています。

父のミヒャエルは1871年に75歳で亡くなっていますので

製品化されたこの椅子を見られたかどうか、といったところでしょうか。

 

フレームはブナ材で、No.14と同じく部材は6つです。

肘掛けから背中に回り込む、長くて緩やかな曲線が美しく

シンプルで軽快な中にも、気品があってエレガントさを感じます。

 

1925年パリで開催された『アール・デコ展』の『エスプリ・ヌーヴォー館』で

ル・コルビュジェが採用したことで一躍脚光を浴びます。

コルビュジェは機能的で優雅なこの椅子を大変気に入って、自身の建築に度々使用したり

自分のアトリエでも使っていたそうです。

そのため、『コルビュジェ・チェア』『エスプリ・ヌーヴォーチェア』と呼ばれることもあります。

 

現在トーネット社から販売されている椅子は、1927年にデンマークの照明デザイナー:ポール・ヘニングセン

によってリデザインされたものです。

また旧トーネット社が第二次世界大戦後解体されてしまった後、1952年にチェコ工場をTON社が受け継ぎ

No.30としてアウグストのオリジナルデザインを変えないように作り続けてきました。

そしてポーランド工場を継承した、ページド社はNo.9として100年以上生産しています。

 

戦争によって四散した旧トーネット社の工場は、現在はそれぞれに引き継がれ

トーネット社製、TON社製、ページド社製(ポーランド)、ファーメグ社製(ポーランド)などがあります。

撮影場所:富山県美術館、サニーヒルズ南青山

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