【クラシック編】不朽の曲木椅子 カフェチェアNo.14

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1859年 カフェチェアNo.14/ ミヒャエル・トーネット:ドイツの家具職人

飲食店などでよく見かける、トーネットの曲木椅子といえば

『軽い』『丈夫』『美しい』『安い』

これらをポリシーにバリエーションが増え、世界に普及しました。

 左:トーネットハイチェア 右:トーネットハイスツール

 

ミヒャエル・トーネットは10歳で家具職人へ弟子入りさせられ

当時ドイツで流行っていた、ビーダマイヤー様式の家具製作の技術を身に付けました。

(ビーダーマイヤー様式は19世紀前半~半ばにかけてドイツ、オーストリアで広がった様式。

フランスのアンピール様式の影響を受けているが、フランスのように貴族趣味的ではなく

シンプルで実用的で中産階級向けの椅子として普及した)

ただ、ビーダーマイヤー様式の木を曲線に仕上げる方法は

手間と時間がかかりすぎて仕方ないと考えたトーネットは

効率化をはかるために曲げ合板(現在の成形合板の原型)の製法を編み出しました。

その後さらに研究を重ね、無垢材を蒸して曲げるという技術を生み出しました。

 

No.14は6つの部材だけで構成されています。

各部材ごとに加工され、販売拠点へコンパクトに梱包して運ばれ、現地で組み立てられます。

いわゆる今では当たり前のノックダウン方式で、コスト削減、大量生産を実現しました。

1m³の箱の中に、36脚分のNo.14の部材が収納できたそうです。

160年以上前、日本は江戸時代のころ、すでにこのような生産方式が行われていたなんて、

トーネットは家具職人としてだけではなく、経営者としても優れていたんですね。

1853年には5人の息子たちと『トーネット兄弟会社』を設立し

兄弟たちが、経営、生産管理、デザインなど業務分担をしながら発展させていきました。

 

No.14は1859年から、推定2億脚以上が生産されているといわれています。

シンプルで様々な用途に広く使える、流行に左右されないデザイン など

流行り廃りの多い工業製品で160年以上も生産され続けている所以でしょうか。

撮影場所:武蔵野美術大学、ブルーボトルコーヒー

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